その傍で本を読むのは

読んだ本の感想とか、小学校での読み聞かせのこととか。
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マニアの会話

子どもの頃からずっと本好きな私。
大学は日本文学科だったけれど、本の趣味が合うとか、本の話題で盛り上がる友だちというのがいたことがほとんどない。

今、初めてといっていいくらい、突っ込んだ話ができるお友達ができて、その幸せをかみ締めている。
そして更に、幸せなことがあった。

今年から始めている読み聞かせボランティアの方で、私と同じ昔の少女小説というか、家庭小説が好きな人を発見!
たまたま同じ日に読み聞かせに入って、帰りに立ち話をしていて発覚した。

児童書が未だに好きということから始り、その人・・・Iさんもそうとのこと。
「「「家なき娘」というワードが出たので、大人になるまで読んだことがなかったので読もうと思ったところ、完訳がどうも偕成社からしか出てないようだから、装丁はイマイチだが買った、
・・・などとマニアっぽいことを口走ってしまったところ、引かれるどころか
「私も偕成社の買ったのよ!」との言葉が。

「私、大草原の小さな家シリーズが好きなんです」と言ってみた。
テレビのファンの人の方が多かったり、読んでいても福音館のシリーズ前半部だけだったりする人が多い中、Iさんは『長い冬』を持っているという!!
おお!
「私、長い冬が一番すきなんですよー!!」とテンションあがる。
「冬に備えて食料の準備をしているところが好きなんですよねー、トマトの瓶詰め1升、とか」と私が言えばIさんは
「私はクリスマスの樽が最後にきてご馳走作るところ」と即こたえてくれるではないですか!
他にも
「あのムクドリのパイは食べてみたい」
「12羽入ったって書いてあったから、相当1羽は小さいはずだ」とか←大草原の小さな町
「かあさんはテレビでは美人だったけど、実際はそうでもなくて、人気者だった父さんがどうして自分を選んだのかって思ってたらしい」
「それはやっぱりウエストが細かったからじゃなーい?」←大きな森の小さな家
「父さんの両手に入るくらい!!(爆笑)」

ポンポンとテンポよく繰り出される会話の応酬!

他にも「パレアナ」とか(エレナ・ポーター)、「八人のいとこ」「花ざかりのローズ」「昔気質の一少女」(オルコット)、「リンバロストの乙女」(ジーン・ポーター)、「あしながおじさん」(ウェブスター)などなど、書名が出る出る・・・・。

最高に楽しいひと時でした。
読み聞かせを始めたばかりの私は、まだそんなに親しくお話したことがなかったのだけれど、もっともっと話してみたい!マニアックに盛り上がりたい!!と思ってしまいました。

今度会うときに、「開拓時代の生活図鑑」を教えてあげよう。

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「大草原の小さな家」シリーズと、カナダの開拓生活と。

カナダの開拓民の生活を描いている、「開拓時代の生活図鑑」を読んだ。
1840年の、ロバートソン一家の生活を物語風に、あるいは図鑑風に描いてるのだが、これが「大草原の小さな家」シリーズと大変似ている。
お隣の国だから当然なのかもしれないけれど、とても面白かった。

ローラが生まれたのは1867年なので、ローラというより、父さんや母さんの子供の頃の時代にあたるのかもしれない。
ロバートソン一家がカナダに移民してきて建てた最初の家は、丸太小屋だった。
なので、「大きな森」の家のような感じで、料理は暖炉でしている。
大きな森にいた時はまだローラは小さかったので、あまり料理について詳しい記述はないが(燻製やバターについては詳しいけれど)、暖炉での調理というのは大変危険だったようだ。
足つきのフライパン、「スパイダー」は、「大草原の小さな家」で登場するが、ロバートソン家でも使われている。

メイプルシロップづくりは、「大きな森の小さな家」での大きなイベントだ。
ロバートソン家でも、一家総出でメイプルシロップやメイプルシュガーを作る。
そして「大きな森」と同じように、子供たちはシロップを雪の上に落として、キャンディーにして食べる。

ロバートソン家の家畜は、牝牛が2頭、牡牛2頭、羊6頭、めんどり数羽で、インガルス家より多い。ガチョウもいたらしい。
インガルス家では、大きな森の時にスーキイという牛がおり、その後はプラムクリークでスポットを飼い始める。
最後の方は増えてきたようだけれど、ニワトリを飼い出したのも「大草原の小さな町」だし、ロバートソン家の方が裕福だったのかもしれない。

ローラの父さん・チャールズは、土地を求めて大きな森を出て行く。
森を開墾して畑を作るのは、非常に大変なことだったらしい。
「開拓民の生活図鑑」によると、木を切り倒すための準備は、0.4ヘクタールに6日かかったそうだ。
開墾の方法についても述べられているので、父さんはこんなことをしていたのか、と感慨深い。

トウモロコシについて述べているところでは、「芯を人形にした」とある。
これこそ、ローラが大きな森で持っていたスーザンのことではないか。
また、種まきのときによく歌ったという
  ひとつはムクドリ
  ひとつはカラス
  ひとつはミミズにあげましょう
  あとの3粒が育つでしょう

これは、父さんが「大草原の小さな町」でグレースに歌って聞かせた
  一粒はムクドリさんに
  もう一粒はカラスさんに
  あとの二粒はのびるため

と同じだよね。

はちみつ探しについても、「開拓民の生活図鑑」には詳しい。
煙でいぶしてハチの動きが鈍くなったところで木を切り倒し、できるかぎり蜂蜜をすくい取る。
「大きな森の小さな家」で父さんがミツバチの巣を取って来るが、ローラが「ミツバチがささなかったの?」と尋ねると、「いいや。ミツバチはとうさんをささないことになってるんだよ」と答えている。
これがとても疑問だった。
一体どうやって取って来るんだろう。
巣を丸ごとでしょ?

ロバートソン家のおばあちゃんという人は、スコットランドからの移民だ。
確かインガルス家のかあさんは、とうさんから「スコットランドのしまりやさん」と言われていたから、祖先は一緒ということになる。
ロバートソンのおばあちゃんは、最初はノバスコシヤに落ち着いたそうだ。
そこって、「赤毛のアン」の生まれたところじゃなかった?

バターづくりについては、冬のバターは白くなってしまうので、ニンジンの摩り下ろしで色をつけたことが書いてあり、かあさんと一緒!と嬉しくなった。
・・・って、かあさんだけじゃなくて、皆がやっていたことなのかな?

行商人、靴職人については、「農場の少年」を思い出した。
ブリキ屋さんが来たり、靴職人を待っていたりしていたから。
靴商人は特に重要だったそうだ。
素人が作るには難しいのが、靴やブーツだったから。

手紙の書き方といえば、インガルス家では便箋の下まで書くと、上や横の余白にも書いていたけれど、「開拓民の生活図鑑」ではもっとすごかった。
余白ではなくて、紙を回転させて重ねて書くのだ。
紙代と郵便代の節約のためとは言うけれど、読みにくいだろうな。

さて、「大草原の小さな家」シリーズでは、先住民であるインディアンとの関係は、時によっては良好とは言いがたく、とりわけかあさんはインディアンを毛嫌いしていた。
しかしロバートソン一家は、カナダの先住民とはうまく付き合っていたし、子供同士なかよくなったりもしていた。
先住民からジャーキー(肉を乾燥させて保存食にした)を教えてもらったりしていたそうだが、そこに「ペミカン」という単語を見つけて、思わずニヤリとしてしまった。
ペミカンといえば、ランサムでしょう。
ここではペミカンのことを、「粉にしたジャーキーに木の実や種、乾燥させた果実などを加え、とかした脂でこねてだんごにしたもの」と説明している。
コーンミールに入れるとおいしいポリッジができるそうだ。

ろうそく作りや石鹸作りは、確かアルマンゾの家でやっていたはず。
ラードに灰汁をまぜて石鹸を作る。
ロバートソン夫人は、近くに誰かが引っ越してくると、石鹸をプレゼントしたそうだ。
豚を育ててラードを手に入れないと、生活に欠かせない石鹸は作れないから。


若干年代はずれているし、カナダとアメリカの違いもあるけれど、かなりかぶる部分が多いでしょう?
「大草原・・・」の方で詳しく語っていないことが説明されていたりして、とても興味深かった。
読み応えありです。
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「大きな森の小さな家」 ローラ・インガルス・ワイルダー/足沢良子訳

大きな森の小さな家
大きな森の小さな家
むかい ながまさ,ローラ・インガルス ワイルダー

ワタシ的評価:★★★☆☆(翻訳に対して)
内容(「BOOK」データベースより)
アメリカ19世紀後半、開拓時代をたくましく生きたローラとその家族の物語が、21世紀の現代に、鮮やかに甦る。

内容(「MARC」データベースより)
「大草原の小さな家」シリーズ1冊目。1870年代、ウィスコンシン州の大森林の中、丸太作りの小さな家で生活するローラと家族の物語。厳しい自然環境の中での驚きと喜びと独創性に満ちた生活ぶりが一年を通して描かれる。

*   *   *   *   *   *   *   *   *

「大草原の小さな家」シリーズファンの私だが、この草炎社のシリーズは最近になるまで知らなかった。
早速手にとったわけだけれど・・・・
うーん、残念。

まず挿絵が日本の方がやってるわけで。
「大草原の小さな家」シリーズといえば、第一にガース・ウィリアムズの絵があまりにも有名。
こちらは福音館や岩波が使用している。
講談社のシリーズは初版の絵を使用(青い鳥文庫はかみやしんだったけど)。
それに比べると、やっぱり・・・なぁ。
装丁はそれなりに素敵だけど、中の挿絵はいただけない・・・・。

そして肝心の翻訳。
これがねぇ・・・・。

福音館恩地訳は、「です、ます」調。
岩波の谷口訳・鈴木訳は「〜だった」調。
講談社のこだま・渡辺訳も「〜だった」調。

草炎社の足沢訳は、・・・・・統一されていない。
基本が「です、ます」なのに、途中で「〜だった」調が挿入されていて、すごく違和感がある。
あまりにもたびたびあるので、確信的にやったんだろうけど、その狙いはなんだったのだろう?
引用する。
 ローラは、お父さんのことを「父さん」、お母さんのことを「母さん」と呼んでいました。そのころそのあたりでは、子どもたちは今のように「お父さん、お母さん」とか「パパ、ママ」とは呼びませんでした。
 夜、ローラがトランデル・ベッド(ベッドのあしに車がついている低いベッドで、片づけるときには、ほかのベッドの下に押しこむことができる)の中で、まだ目があいているとき、聞こえてくるのは、木ぎの葉のささやき合う音だけ。
 ときどき、夜のやみのすっとむこうで、一頭のオオカミがほえている。オオカミは、だんだん近づいてきて、またほえる。
 そのほえる声は、こわぁい声でした。

違和感を覚えるのは、私だけなのかな?
日本語の流れとして美しくない感じがする。
他の翻訳を読んでいて感じたことのない感触だ。

それから恩地訳で「移動ベッド」と刷り込まれている者にとって、「トランデルベッド」は「へ〜」である。
講談社では「大きなベッドの下からひきだした子ども用ベッド」だ。
足沢さんは注が好きなようで、括弧書きの説明が大変多い。
「訳者註」と断り書きのあるものとないものがあり、その区別は理解できない。
比較してみると、恩地訳は括弧を使用せずに説明しようと試みているようだ。
足沢訳の「ソルト・ライジング・パン(訳者註・塩、砂糖、小麦粉、牛乳、コーンミール、それにソーダを加えて焼いたパン)」は、
恩地訳では「タマゴと牛乳と粉と塩でつくるパン」になっているし
「ジョニー・ケーキ(トウモロコシのひきわり粉をねって、鉄板か鉄なべで焼いた物」足沢訳が
「トウモロコシやきパン」に「ジョニイ・ケーキ」とルビがふってある恩地訳。
対象年齢が低ければ、恩地訳の方がいいような気がする。
大人なら、好みの問題かな。
でもやっぱりなー
手も顔も、とても熱くなってくるし、ローラは指にやけどをしてしまったけれど、夢中になっているので気にもしません。ブタのしっぽをあぶるのは、あんまりおもしろいので、かわるがわる順番にやるのは、とてもむずかしい。

違和感ありあり・・・・・。
やはりシリーズ前半は、福音館の恩地訳を越えられないのでは。
鈴木訳ほどの古さはなく、いい感じに古く、そして優しい訳だ。
講談社のこだま・渡辺訳も、大人向けにはいいかもしれない。
私が子どもに与えるなら、草炎社は選ばないなぁ・・・・。
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「大草原の小さな家」のペーパードール

My Book of Little House Paper Dolls: The Big Woods Collection (My First Little House Books: My Book of Little House Paper Dolls)
My Book of Little House Paper Dolls: The Big Woods Collection (My First Little House Books: My Book of Little House Paper Dolls)

実はペーパードールが好きで、アマゾンで買ったり海外旅行の際に買ったりしています(スカイソフトでも買ったかな)。
今回はなんと「大草原の小さな家」のペーパードールを発見。
即買いです。
これはシリーズで、他にクリスマスのもあるようですが、そちらは在庫がありませんでした。

こちらは「大きな森の小さな家」が舞台になっており、お部屋になる厚紙もついていました。
片面が家の内部で、料理用ストーブやドアの上の父さんの猟銃や暖炉、陶器のお人形まで作品に合わせて描かれています。
下には切り込みがあり、父さんと母さんの人形のスタンドをはさんで立たせられるようになっています。
裏面は森から見た家の様子です。
残念ながらローラのブランコや燻製を作った木などは描かれていません。

人形は5体プラス1で、父さん・母さん・メアリイ・ローラ・キャリイそして犬のジャックがいます。
洋服のページには文章がついています。
「Meet Laura」
昔むかし、ローラという名前の女の子がウィスコンシンの森にある丸太の小さな家に住んでいました・・・・という内容で、ローラとメアリイの普段着とボンネット。
「In The Garden」
母さんとローラとメアリイは畑から野菜を収穫します・・・というような内容で、メアリイとローラがショールをかけて野菜の入ったかごを持っている服です。
「Baking with Ma」
母さんがパンを焼くときに、ローラとメアリイがお手伝いします・・・というような内容で、エプロンをかけた服です。
「Going Visiting」
時々おじいちゃんとおばあちゃんの家にお出かけします・・・というような内容で、母さんがキャリイを抱いてマントを着ている上半身と、緑のよそいきのドレス。帽子もついています。
「After Supper」
父さんがバイオリン(フィドル)を弾いてくれます・・・というような内容で、バイオリンをかかえた父さんの服と、緑の表紙の本(「動物世界の神秘」かな?)、それと手をたたいて床にお座りするキャリイの服です。バイオリンケースもついています。
最後に、赤いチェックのテーブルクロスのかかった丸テーブル(ランプがのっている)、ピッチャー、キャリイのゆりかごがついています。

小物もついていて楽しめますが、やっぱりもっと洋服を増やして欲しかったです。
ちょっと物足りないかな。

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「長い冬」改版は、どの程度改訂しているのか?

長い冬 (上)
長い冬 (上)
ローラ・インガルス・ワイルダー, 鈴木 哲子

今まで私が所有していた「長い冬」は、鈴木哲子訳の上巻が改訂前のもので、下巻は改版だった(谷口訳も所有)。
今回翻訳比較をしてみたら、明らかに誤訳っぽい箇所は、改版にて訂正されていることが分かった。
となると、逆に下巻の改訂前のものがどうしても欲しくなり、ネットにて入手。やったー!!

見てみると、かなり手を入れていることに気付く。
上巻も、改版を図書館で借りてきてチェック。
固有名詞では、
カロリン→キャロライン(かあさん)
アルデン牧師→オルデン牧師
ディヴィッド→デイヴィッド(馬の名前)
などなど・・・。

細かく見れば、相当な数になる。
第一章の一部分だけでも、
古い湿地→バッファローの水浴び場のあとの湿地
湿地→沢地
ダコタ州の大草原→ダコタの大草原
草ニワトリ→草原ライチョウ
おれたち→わしら
といった調子で、切りがないほどだ。

差別用語と思われる「盲」も、訂正されていた。

今後新旧翻訳比較をするときは、改訂前をベースにしつつ、改版で訂正されたものについては、それを明記しなくちゃいけないだろうなぁ。
面白い部分は、たいてい訂正されてしまってるので、ある意味残念(笑)
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「長い冬」 新旧翻訳比較2

The Long Winter (Little House, 6)
The Long Winter (Little House, 6)
Laura Ingalls Wilder, Garth Williams

6月22日補足追加
翻訳比較1はコチラ

第2章 旧訳「町へのお使い」 新訳「町へ買い物に」

怖いのか怖くないのか、どっち?
Paの草刈機の歯が壊れたので、ローラが町で買ってくるように言われる場面。
【旧訳】 ・・・ローラは町へいきたいと思わなかった。こわいというわけではなかったが
【新訳】 ・・・そうローラはいったけれど、町へ行くのがほんとうはこわかった。

ほんとうはどっち?
原文は
She was not exactly afraid,
本心は怖かったんじゃないかな。でも文章上は、「怖いというわけではない」と言っている。
鈴木訳は原文に近く、谷口訳は意味するところは分かりやすく伝えたのでしょう。


Maはたぶん・・・
急いで家に帰りながら、ローラが考えたのは・・・。
【旧訳】 母ちゃんがきっと、「よそゆき」のリボンをかけさせて、それからたぶん、アイロンをかけたばかりのメリー姉ちゃんの日除け帽子をかぶらせてくれるだろうと思いながら
【新訳】 ローラは日曜日用のヘア・リボンをつけたり、もしかしてメアリのアイロンかけたての日除け帽子を、かあさんがかぶらせたりしてくれるかどうか、考えていた。

旧訳のローラは、「させてくれるだろう」と思っており、新訳のローラは「せてくれるだろうか?」と考えている。
原文は
she thought that Ma might let her wear her Sunday hair-ribbon and Mary's freshly ironed sunbonnet.
結局はさせてもらえないんだけど。

ところでこの「Sunday hair-ribbon」、「日曜日用」なのは確かだけど、「よそゆきのリボン」っていうのも、ちょっとワクワクする空気があって好き。


和文英訳?
町へついて、ローラ達の町の家を見て。
【旧訳】 通りの向こうがわにローラの父ちゃんのものである店の建物が
【新訳】 本通りの向かい側には、とうさんが建てた店の建物が

鈴木さんの訳は、柳瀬尚紀(「翻訳はいかにすべきか」著者)さんが怒っちゃうような文章になってます(笑)。


なんちゃって農村言葉
町で買い物を終えた、ローラとキャリーの会話
【旧訳】 「ね、こわいってんでもないけど・・・」
【新訳】 「こわいというわけじゃないけど・・・」

【旧訳】 「そりゃ、あたしがいれば大丈夫さ」
【新訳】 「あたしがいるから安心して」

出ました、鈴木さんお得意の「適度に農村らしく」が。
ぞんざいな言い回しが特色。


本の色は青?緑?
ちゃんとした道を通らず、スルー(大沢地)を抜けて行くことにしたローラとキャリー。
【旧訳】 父ちゃんの持っている、厚い青表紙の本で見る絵にあるような、ジャングルにはいっていくような気がした。
【新訳】 まるで、とうさんの大きな緑の本に出てくる、ジャングルの中をつきすすんでいくような気持ちだった。

おっと、鈴木訳では青い本、谷口訳では緑の本に。
原文では
into the jungle-picture in Pa's big green book.
greenって書いてある!
鈴木先生、緑を青と呼ぶのは・・・お年寄り語ってことで、仕方がない?
でも下巻では「大きな緑の本」になっている。
私の所有している下巻は改訂版だから、訂正されたのだろう。
この緑の本は、その後も出てくる「動物世界の驚異」(鈴木訳。谷口訳では「すばらしい動物の世界」)のことだろう。
追記:改版を確認。「厚い緑表紙の本」になってました
でも初版でも5章では「大きな緑色の表紙の本」とあるので、この部分は単なる誤訳何かの間違いかと。
ちなみに本の題名も、「動物界の驚異」と「動物世界の驚異」(この楽しき日々)と2パターンある



えり?喉?
大沢地(スルー)で迷子になってしまったローラとキャリー。
とても暑い状況を説明する文で
【旧訳】 えりからせすじへ汗が流れていたが
【新訳】 汗が喉や背中を伝って

えりと喉は違うと思う・・・。
原文は
The smothering heat made sweat trickle down her throat and her backbone,・・・


鈴木節
ローラとキャリーの会話再び
【旧訳】 「うん、歩けるったけね」
【新訳】 「そうね。どこまでもね」

鈴木訳がしみこんでしまっている私は、「歩けるったけね」が好き。


アルマンゾは何歳?
このあと二人はワイルダー兄弟と出会うが、アルマンゾのことを
【旧訳】 男の子、少年
【新訳】 若者
と表記している。原文は「boy」
この時アルマンゾは19歳。21歳と年齢詐称していたが・・・。
当時の状況からすれば、若者と言った方がいいだろう。
だって1年後の冬(「大草原の小さな町」)には、ローラはアルマンゾのことを「大人の人で、父さんの知り合いだ」って思ってるんだし


ない!
アルマンゾの馬を形容した文章で
【新訳】 もりあがったお尻が日をうけてぴかぴか光り
とある部分が、鈴木訳には全くない。
原文は
their haunches gleaming in the sun
とあるのに。
改訂版では直されているのか?
このあとの、「ワイルダー兄弟の馬だった」という部分も鈴木訳は抜けている。


いきなり?
ローラとキャリーがアルマンゾの前に出てきた場面では
【旧訳】 ローラとキャリーがせの高い草の中から出てくるのを
【新訳】 丈の高い草むらからいきなり出てきたローラとキャリーを

谷口訳では「いきなり」とあり、鈴木訳にはない。
原文は
Laura and Carrie come out of the tall standing grass・・・


誰の馬?
大問題が発生しました。
アルマンゾの馬といえば、二頭のモルガン種、プリンスとレディーのこと。
なんですけど・・・
【旧訳】 モルガンさんの馬車の
【新訳】 二頭のモルガン種の馬と馬車が

モルガンさんなんて、デ・スメット(ドゥ・スメット)には住んでない〜!
下巻には「モルガン種」という表記があるので、改訂版では訂正されているのだろう。
でも改訂前は、話のつじつまが合わなかったと思う。
だって下巻では、馬はアルマンゾの家に帰ってきて、アルマンゾが世話してるのに、「モルガンさんの馬」?
アルマンゾはモルガンさんの馬丁か?飼料店を経営してるのに。
あんなに種麦の心配しまくってるのに。
追記:改版では「モルガン種の馬と馬車」に訂正されている
が、初版でも7章では「モルガン種」のとあり、ここは単なる誤訳何かの間違いかと・・・



下巻も、初版が欲しくなってきた。
でももう手に入らないだろうなー。
というわけで、第三章に続きます。
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岩波少年文庫版「長い冬」 新旧翻訳比較 1

長い冬
長い冬
ローラ・インガルス・ワイルダー, 谷口 由美子

最初にお断りしておくが、どちらが優れているかということを論じるつもりはないです。
ただの「1マニア」として、どう違っているのかを比較したいというだけです。
そこに私の好みを述べることはあるかもしれないけれど、あくまで個人的な好悪の問題になります。
それと、細かく違いを挙げていくときりがないので、私が気になった部分だけを比較します。



テキスト
旧訳 鈴木哲子訳(上巻は第20刷、下巻は24刷改版)
新訳 谷口由美子訳(第3刷)


第1章 旧 「ほし草は日の照るうちに」
        新 「干し草作りは日の照るうちに」


ローラが、干し草作りの手伝いを父さんに申し出るセリフ。
 「父ちゃんのお手つだいできるよ、きっと、できるよ」
 「あたしにも手伝えるわ。きっとできるってば」
原文
I can help,Pa.I know I can.
谷口訳は、恩地訳(福音館から出ている、ローラの子供時代のシリーズ)の雰囲気があるように感じる。
意識したのだろうか?まさかね・・・。


干し草作りの時に、キャリーが持ってきてくれたショウガ水を飲んで。
 のどを通っておくのほうへ流れていくあのひんやりとしたしめりけは、
 ああ、おいしい。喉をつうと下へおりていく、ひんやりとしたうるおいは
原文
父さんの飲みすぎないようにという注意のあと
Nothing was ever so good as・・・・
「ああ、おいしい」のような、ローラの独白調の文面はない。
その前の場面でも谷口訳は、「ああ、水が飲みたい」とある。
鈴木訳の方が原文に近い印象。
これが谷口訳の特色といえるのか、今後もチェックしていきたい。


さて、第一章最大の山場(←独断)
干し草の山の場所について。
 地下室の上の床に
 芝土でできた馬小屋の上にも
原文
a long stack over the whole top of the dugout stable
全然違う場所に、干し草の山を作ってます。
地下室説。
「この楽しき日々」で、台風の季節に地下室に避難しているので、地下室は存在する。
けれど、「地下室の上の床」って?地下室の床ではなく、1階ってこと?そこはどこ?
馬小屋説。
プラムクリークの家が、芝土でできた横穴小屋だった。そんな感じか?
しかし鈴木訳でもその後、馬小屋は芝土で作ってあることが描写されている(「大草原の小さな町」より)。
その場面の原文をあたりたいところだが、生憎手元にないので、今後確認したい。
「dugout stable」じゃないのかな。


父さんが「日のあるうちに干し草を作ってしまおう」と冗談を言ってローラが笑う場面
 太陽はますますキラキラしていた。
 日があるどころか、太陽はこれでもかというくらい、ぎらぎら照りつけていたからだ。

原文
because the sun was shining・・・
鈴木訳だと、父さんが冗談を言っているということが伝わりにくい。
原文を読んだ方がよく分かるくらい。


挿絵について
新訳を読んでいて、旧訳にはない挿絵に気付いた。
ローラが父さんに水差しを運ぶ場面に、挿絵がある。
原文をあたったが、どうもこの1枚だけが旧訳では落ちている。
1枚だけ、ということに何か意味はあるのだろうか。

〜2章へ続く〜
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「名作の研究事典」における「長い冬」

図書館で閉架図書から出してもらった「名作の研究事典」・・・。
さすがに年代モノである。

ローラ・インガルス・ワイルダーの掲載作品は、「長い冬」になっている。
今、新たに「名作の研究事典」を作ったら、この作品が載ることはないだろう。
なんたって講談社文庫の大草原シリーズから、ただ1作これだけが抜けているくらいだから。
(講談社さん、シリーズで出しておきながら1冊だけはずしたその意図は?)
今なら「大きな森の小さな家」か「大草原の小さな家」あたりだろうか。

しかし、日本で最初に訳されたワイルダー作品は、この「長い冬」である。
1949年のことで、岩波が鈴木哲子訳でシリーズをだす6年前になる。
文学的評価が高かったのが、「長い冬」だったらしい。
だからだろうか、「名作の研究事典」で「長い冬」が紹介されているのは・・・。

あらすじを読むと、鈴木訳を使っていないことが分かる。
父ちゃん、母ちゃんについては「パ」「マ」と原文をそのままローマ字読みしている!
ローラの姉は鈴木訳と同様、「メリー」(恩地訳・こだま渡辺訳「メアリー」,谷口訳は「メアリ」)。
オルデン牧師は「アイデン牧師」になっている。鈴木訳は一度改訂されており、初めは「アルデン牧師」改訂後は「オルデン牧師」だ。

ちなみに鈴木訳は、「母ちゃん」の名前も「カロリン」から「キャロライン」に改訂している。

「名作の研究事典」におけるあらすじは、執筆担当者が原文を読んで書いたのだろうか?それとも翻訳を?
だとしたらどこから引用しているのか・・・。
疑問は数々ある。

略歴と著書の項目に至っては、「大きな森の小さな家」を「大森林の小屋」と紹介している。
「大森林」ですよ!それに「小屋」って!
もちろん続きも、「大草原の小屋「スモモ運河の岸で」「シルバー湖の岸で」「農夫の子」・・・。
「These Happy Golden Years」は、「この楽しき日々」「この輝かしい日々」などが一般的だが、「幸福な最良の年」というナンジャソリャ的な題名に。

一体どなたが執筆されたのか、興味津々のワタクシなのです・・・。
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「大草原の小さな家」シリーズと、「生徒諸君!」の類似点

「大草原の小さな家」シリーズの後半4作は、当初岩波少年文庫から鈴木哲子訳で出版された。
前半の福音館恩地三保子訳とはがらっと雰囲気が変わり、それに馴染めず挫折した人も多かったのではないだろうか。

なんと言っても大きな違いは、「とうさん・かあさん」が「父ちゃん・母ちゃん」に変わったこと。
しかし原文では「Pa」「Ma」という、現代ではもう使われない呼び方になっている。
ということは、ちょっと古くさい呼び方ということで、「おとう・おかあ」的な雰囲気なのかもしれない。
そう考えると、鈴木訳はあながち的外れではなかったということになる。


ワタシ的には、「父ちゃん・母ちゃん」よりも、受け入れられなかったことがあった。
それは、「母ちゃん」の言葉遣いだ。
このお母さんは学校の先生をしていただけあって、娘たちの言葉遣いにはうるさく、「いらっしゃる、だよ」とか「へんてこ、なんで言うんじゃありません」などと、指導する。
そして夫である「父ちゃん」チャールズには、献身的な愛を持ち、常に彼をたてる妻だ。
なのにどうしてそんな人が、「どこがさ?」とか「あのうすのろのガンみたいに、頭がどうかしてるよ!」なんて夫チャールズに向かって言うの?
新しく谷口由美子訳になった岩波少年文庫では、「えっ、なんの様子がですか、チャールズ?」と「チャールズったらばかばかしい!」になっている。

この「母ちゃん」キャロラインの口調については、鈴木哲子本人もあとがきで触れている。

この開拓者の中には、生えぬきのお百姓さんでない人がたくさんいました。ローラのお母さんもそのひとりです。ですから、「母ちゃん」のはなすことばは、都会の学校の先生のようなことばで、きっすいのお百姓さんことばではないのです。けれども、日本語では感じが違うように思ったので、私は適当に農村らしくしたつもりです。


これを読んで思ったのは、
鈴木先生〜、「適当に」ってなんだよ〜。
お百姓さん言葉じゃないって分かってて、どうしてそうするかな〜。
だって本文中に、娘の言葉遣いを直したりするところがあるじゃない。
都会の先生のような言葉をつかうからこそ、直したんじゃないの?

と、非常に納得がいかなかった。
この「適当に」にっていうのが曲者だ。
「適当」って、『度合いがちょうどよい様子』の他に、『広義では、表面上つじつまが合うように・要領よく(いいかげんに)でっちあげることも指す』とあるんだけど・・・・(新明解国語辞典より)


「母ちゃん」の話す言葉を聞いていると、どうしても浮かんでくるのが、有名な少女マンガ「生徒諸君!」に出てくる、関西弁を話す沖田くんという男の子。
「関西弁」というイメージのみで、専門家に指導や校正を頼まず、「適当」に作り上げたでしょ、的な関西弁。
読んでいてカラダがむずがゆくなる。

どっちの作品も、そこが「惜しい!」と強く強く思うのです・・・。

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