その傍で本を読むのは

読んだ本の感想とか、小学校での読み聞かせのこととか。
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「共犯マジック」 北森鴻

共犯マジック
共犯マジック
北森 鴻

ワタシ的評価:★★★☆☆(3.5)
内容(「BOOK」データベースより)
人の凶兆・不幸のみを予言する、謎の占い書「フォーチュンブック」。読者の連鎖的な自殺を誘発し、回収騒ぎにまで発展したこの本を、松本市のとある書店で偶然入手した、七人の男女。彼らは、運命の黒い糸に搦めとられ、それぞれの犯罪に手を染める。そして知らず知らずのうち、昭和という時代の“共犯者”の役割を演じることに…。錯綜する物語は、やがて、驚愕の最終話へ―!!連作ミステリーの到達点を示す、気鋭・北森鴻の傑作最新長篇。

*   *   *   *   *   *   *   *   *

錯綜する物語・・・ドキドキしてええっ?!そうだったの?!と思いつつ、ちょっと人物が混乱・・・・。
メモをとりながら読むべきだった(しないけど)。

長野県松本市で書店の店員をしていた蜷川は、偶然倉庫で「フォーチュンブック」を発見。
それを6人に売った。
中年の男、乙黒喜吉。
若い女性、竹内初江(実は他の名前もある)
学生、篠塚瑛助
アベック男、檻口順一
アベック女、北条幸江
女子高生、愛川晶
そして晶と取り合いになり、結局買えなかった学生・・・・。

各章ごとにメインとなる登場人物が変わり、時代も違う。
その登場人物は、ほとんどが「フォーチュンブック」を買った6人(違う場合もあるけど)。
そしてその頃に起きた社会的事件が効果的に挿入されている。
学生運動、ホテル・ニュージャパンの火災、帝銀事件、グリコ・森永事件、横須賀線爆破事件・・・・。

ありえないような人間関係の偶然が重なっていくが、それが全て「フォーチュンブック」の力という設定で、納得させられた。
心霊オチやSFオチは苦手なんだけど、これは挿入される事件が現実に起こったことなので、平気だったのかも。
よくまぁこんなに複雑なストーリーを組み立てられるよ。

北森さんは、「蓮杖那智シリーズ」みたいな硬めのから、「支那そば館の謎」の軽めの、そして「ビアバー香菜里屋シリーズ」はその中間くらい?で、守備範囲が広いなー。

読了後、どうしても人間関係と時制をまとめたくて、簡単に書き出した。
あとからジワジワくる面白さ。
ようやくスッキリしたけれど、完全ネタばれなので隠します。
メモ的なものだと思ってください。

↓ ↓ ↓ ↓ ↓ ↓ ↓ ↓
ネタバレしてます
一部反転表示にしてます。












↓ ↓ ↓ ↓ ↓ ↓ ↓ ↓
店員 蜷川哲治
中年男 乙黒喜吉
若い女性 竹内初江(有樹真理子)
学生 篠塚瑛助
アベック男 檻口順一
アベック女 北条幸江
女子高生 愛川晶
買えなかった学生  木津修平(村山徹)

【プロローグ・1967年】
書店の店員だった蜷川は、倉庫にて「フォーチュンブック」を7冊発見。
自分に1冊とり、残りを6人に売る。
6人目の愛川晶が買おうとしたとき、学生が欲しがったが、結局晶が手にした。

【原点・1969年】
1969年学生運動の時代。篠塚瑛助は京都で大学生になっていた。
ノンポリ学生でなんとなくグループができていたが、メンバーのケン兄が殺害される。
同じくメンバーの村山が犯人かと思いきや、実は(ネタバレ反転)瑛助。
好きだった女の子が学生運動に身を投じたのがきっかけ。
村山は無実を訴えず、それは逆に彼も実は犯罪者なのではないかという疑問に。
瑛助はバイクに轢き逃げされて死亡。
村山徹が実は(ネタバレ反転)あの時「フォーチュンブック」を買えなかった学生、木津修平。

【それからの貌・1982年】
ニセ500円硬貨が新聞社に送りつけられた。
檻口順一は新聞記者になっていたが、諸事情から現場職をはずされていた。。
捜査三課の警察官がやって来て、元宮幸江(北条幸江)のことを聞いていった。
彼女はホテルニュージャパンの火事で死亡していたが、ニセ硬貨の金型を所有していたらしい。
幸江は心中するためにホテルに泊まったはずという推理をする順一。
その相手は誰なのか。
そしてニセ500円硬貨はなんのために作られたのか。
旧紙幣が流通しなくなることを恐れたのでは?
犯人は通しナンバーが控えれている紙幣を相当量持っており、それを新紙幣に換金するために通貨流通に混乱があった方がいいと考えたのでは・・・・。
檻口は新聞社を辞める。

【羽化の季節・1987年】
小茂田堅介は絵画ブローカー。
とある画廊でY**のスケッチで素晴らしいものを発見。
その絵の前で震える男、愛川旭を連れ出して話を聞く。
旭の娘晶は、恋人の蜷川と二人で旭をだまし、そのスケッチを偽ものとすり替えてかけおちした。
そのトリックにだまされ、旭は共同経営者の浅尾を殺害してしまう。
帝銀事件の話が出る(蜷川に昭和23年の帝銀事件を教えたのは、旭と浅尾)。
話を全て聞いた小茂田はスケッチを旭に渡す。
その足で小茂田は警察へ行き、「娘を殺害しました」と自首。

【封印迷宮・1984年】
檻口は新聞記者を辞め、いまでは定職につかずベッドハウスに暮らしている。
転職した際、社宅で火災を起こして死者を出し、逃亡者となったのだ。
サクラダという、醜悪な容貌で過去の記憶のない男と同室で、犯罪に誘われる。
グリコ・森永事件の模倣をした二人だが、だんだんサクラダの様子がおかしくなってきた。
「フォーチュンブック」を見せたところ、記憶を失っている時期に発売されているのに、激しく反応した。
企業脅迫が首尾よくいったところで、金塊は八王子の山中に隠すと言う。
サクラダが記憶を失って転がっていた現場・・・そこで彼は記憶を取り戻した。
何者だったのか、どうしてそんな姿になってしまったのか、グリコ・森永事件に激しく反応した理由も。
彼はグリコ・森永事件の犯人を知っていると言う。
彼は(ネタバレ反転)蜷川だった。

【さよなら神様・1975年】
1968年の横須賀線爆破事件によって、真理子の右足は切断された。
入院中に刑事がやって来て、同僚のホステス頼子が殺されたことを聞く。
真理子は頼子の家を訪ねていく途中だった。
1966年真理子は子供を養うためにホステスとして働いていた店の客、早川と結婚。
一緒に暮らしていても早川の仕事はよく分からなかったが、時折品物を松本へ運ぶよう頼まれることがあった。
真理子は「竹内初江」としてホステスをしており、松本で「フォーチュンブック」を購入。
早川は実は非合法物資のバイヤーであり、ある日逮捕されてしまった。
真理子は運び屋をやらされていたことになる。
それを頼子に知られて、強請られるようになった真理子は頼子を殺害。
偶然遭遇した爆破事件が隠れ蓑となり、真理子は疑われずに再婚。
再婚のきっかけとなった轢き逃げ事件は実はしくまれたものだった。
通りかかったワゴン車に乗せられて病院へ連れて行ってもらったが、その男は事故を見ていなかったのに「子供がバイクにはねれて」と言ったのだ。
あの男は検問をくぐり抜けるのが目的だったのだ・・・・。

【六人の謡える乙子・1974年】
1974年、余命わずかとなった彫刻家樺沢。
師であった乙黒の墓所が大雨で流され、師の作であると思われる女性像が出てきた。
乙黒の娘であり、樺沢の婚約者だった乙子の像だろう。
乙子は轢き逃げにあって死亡。犯人はいまだ見つからず。
樺沢は、像は師のアリバイ作りに使われたと推理。
全く錆びていなかったことから、土に触れることのないところにあったはず。
乙子の墓所にはもう一つ石室があった。
そこに水分を含んで膨張しやすい、例えば大量の紙の束などがあったのではないか。
手術中にそこまで回想した樺沢は、そのまま死亡。

【共犯マジック・1985年】
サクラダこと蜷川は、木津修平を探している。
1968年に愛川晶とかけおちした蜷川は、すぐに彼女と別れてその後乙黒と木津に出会った。
蜷川は東京で自堕落な生活を続け、ここで何かをしなければ自分は腐ってしまうと思っていた。
乙黒は娘を轢き逃げで殺され、犯人を検挙できなかった警察を憎悪していた。
木津は父親が相場に全財産をぶちこみ一家離散。
そのような3人が出会い、会話をしていくうちに悪意は醸造された。
3人は帝銀事件を参考にしてある事件を起こす。
木津は自らの不幸を、蜷川が最後の1冊のフォーチュンブックを晶に売ったせいだと逆恨みしていた。
事件後蜷川を殺害(未遂)。
その後京都へ逃げ、村山徹となる。
ケン兄殺害の疑いをかけられたが、殺人者として逃亡を続けるよりも手っ取り早く身を隠せると自首。
3人が起こした事件は(反転)3億円事件だった。
逃走にあたって、木津がバイクで親子連れをひっかける。
蜷川が善意の第三者として通りかかり、検問を突破して救急病院へ行くという筋書きだった。
現金を八王子の山中に隠したところで、蜷川は木津に瀕死の重傷を負わされる。
1975年に木津は刑務所を出所。
この年の12月10日に(反転)三億円事件は時効を迎える。
年が明けた1976年に木津は八王子の山中に向かった。
そこには五百円と千円の紙幣しかなかった。総額1千万。
乙黒は「裏切り者への報酬は、これで充分なり」とメモを残していた。
通し番号が控えられているとの噂のある紙幣で、木津は使うことができないまま、ホテル・ニュージャパンで働き出した。
そこで北条幸江と知り合い、五百円硬貨の偽造をする。
五百円札の流通が断たれるのを防ごうとしたのだ。
北条幸江を裏切ったのは、木津だった。
結局紙幣を使えなかった木津は、新たにグリコ・森永事件を考え付く。
・・・・事件の幕は何ひとつおりていない。
犯人は彼らであって、彼らではない。
1冊の本なのだ。その呪縛からは、いまだ逃れられない・・・・。
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