その傍で本を読むのは

読んだ本の感想とか、小学校での読み聞かせのこととか。
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「さよなら妖精 」 米澤穂信

JUGEMテーマ:ミステリ

私にとって今年上半期、衝撃度No.1の作品となった。
いろいろ気に入らない部分や、どうかと思う部分があるにも関わらず、それを越える「何か」を感じた。
後味は、よくない。

内容(「BOOK」データベースより)
一九九一年四月。雨宿りをするひとりの少女との偶然の出会いが、謎に満ちた日々への扉を開けた。遠い国からはるばるおれたちの街にやって来た少女、マーヤ。彼女と過ごす、謎に満ちた日常。そして彼女が帰国した後、おれたちの最大の謎解きが始まる。覗き込んでくる目、カールがかった黒髪、白い首筋、『哲学的意味がありますか?』、そして紫陽花。謎を解く鍵は記憶のなかに―。忘れ難い余韻をもたらす、出会いと祈りの物語。気鋭の新人が贈る清新な力作。


「おれたち」というのは、「おれ」である守屋路行、センドーこと太刀洗万智、白河いずる、文原竹彦の4人。
1991年、高校3年生であった彼らの前に現れたのが、マーヤ。
ユーゴスラヴィアの政府の仕事をしているらしい父親について、日本にやって来た。
父の友人のところに下宿する予定でこの街に来たところ、その人は死んでいたという。
父親は大阪で仕事をしている。
結局守屋の尽力で、旅館を営んでいる白河いずるのところに下宿することになったマーヤ。

まずここに引っかかる。
違う国、違う価値観のマーヤが父親のところに戻らないと言い張ったのに目をつぶったとしても、大人(家の人。いずるの親)が簡単に納得して、外国人を家に置くだろうか。
しかも未成年。

そして淡白な彼らの人間関係。
太刀洗や文原の性格も、あっさりとしてるというか、冷たいというか、なんとも受け入れにくい。
元々たいして仲のよかったわけでもない4人が、マーヤを介して何度か集まった・・・というところか。
守屋は残りの3人とはそれなりの付き合いがあったようだけど、太刀洗といずるの関係はよくわからないままだし、文原はマーヤがいなければ女子二人と接点はなかっただろう。

そしてマーヤの帰国が迫ったある日、ユーゴスラヴィア紛争勃発。
政治家を志すマーヤは、帰国していく。
当面は安全な国か、あるいは・・・死地に。

ユーゴスラヴィアは6つの共和国からなっていた。
スロヴェニア。
クロアチア。
セルビア。
ボスニア・ヘルツェゴヴィナ
モンテネグロ。
マケドニア。

マーヤは出身地を明かさなかった。
あれから1年。
マーヤを心配する守屋といずるは、マーヤの出身地を割り出そうと必死になっていた。
しかしなぜか冷たく「忘れたい」と言う太刀洗。
文原は、気持ちは分かるがそういうことをしたいとは思わないと言う。

文原の冷たさはなんなんだろう。
ものすごく親しくしたわけではないけれど、知っている人の生死に関わる話に、ここまで冷たくなれるというのが、嫌な感じだった。
太刀洗も、マーヤの帰国前の守屋とのやりとりとか、真意がよく分からず嫌な女だとしか思えなかった。

守屋といずるの二人は、守屋の日記から1年前のことを思い出し、ヒントとなる事柄を洗い出す。
いずるの消去法によると、残されるのはセルビアか、モンテネグロ。
当面は心配のない地域。
しかし、守屋が導き出した答えは。

いずるを適当にあしらって別れた守屋が一人になって、一つ一つ検証して答えを導いていく緊迫感。
1年も昔の会話から、ヒントを捜してひろって推理を展開していく。
正解に近づいていく。
その1行を読んだ時、体が震えた気がした。
あのゾクッとした感じは忘れられない。

そのまま後は想像にまかせてもよかったと思う。
でも更に太刀洗と守屋の対決が残っている。
マーヤは太刀洗には出身地を教えていた。
そして太刀洗はマーヤに手紙をだし・・・・返事が来ていたのだ。

好きなストーリーでもない、好きな登場人物もいない、そんな小説だったけれど、忘れられない物語になった。

舞台が1991年でならなかった理由。
それはユーゴスラヴィア紛争が起こった年だったから。
それを題材に、ユーゴスラヴィアのどこへ帰ったのかという謎解きを主眼に、こんな物語を書く。
米澤穂信という作家に興味津々。
気になっていた「ボトルネック」、読んでみようかな。
後味悪そうだけど、想像できる気もするけど、多分読むだろう。



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